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雪の浄化祭

命/からだ/生きること 長編(シリーズ)

空へと還る前_備忘録

ほとんど”無”になってしまった抜け殻のわたしは、 特に、何かを”やりたくない”と感じているわけではなかった。   「”生きたい”という感覚がない」ことと、「死にたい」は別であり、 「”死にたい”という感覚がない」ことと、「生きたい」は別である。   それでも苦しさだけはあったので その苦しさを昇華させる寸前の場所で、 自分が新しい何かを見出そうと思ったと […]…

備忘録 長編(シリーズ)

どこに還る

荒んだ気持ちが少しだけ穏やかになったわたしは、 いっそのこと一晩だけ バケイションを楽しもうという気持ちにようやくなった。 ほっと一息ついて、ただその瞬間を楽しむという休息のつかの間を もう長い間持つことはなかったような気がした。 城を囲む雪景色のお堀を眺めながら 時間をかけてぜんざいを食べて 夜になってから外に散歩に出た。 着替えももちろんなにひとつ持ち合わせていなかった私は 3日間、同じセータ […]…

すきなもの/こと 長編(シリーズ)

消えゆく甘い、わたあめ

前払いの違反切符続き いっぱいの暖かい味噌汁のあとに、 意識を失うようにして倒れたわたしを起こしたのは父からの電話だった。 外の状況がどうなっているのか見当もつかぬまま わたしはまだ、絶望のど真ん中を漂っていた。 目を覚ましたが、わたしはもう二度と目を開けたくはなく 電話が何度も繰り返し鳴るのを無視した。 父は、わたしが疲れすぎて倒れているのだと思って心配していたようだった。 ギリギリ世界に繋がれ […]…

備忘録

雪の浄化祭 Stuck⑤

Ultimate Fort(絶望要塞)記事一覧 雪の浄化祭④ つづき       わたしはそのままその見知らぬ家族の家で休ませて欲しかったが、いろいろな事情があるらしく 何とかしてわたしをどこか安全な場所に避難させる話合いが行われた。   父は、これ以上迷惑をかけてはいけないからタクシーを呼んでどこかのホテルに行きなさいと言った。 ただでさえ、普段そういった […]…

長編(シリーズ)

雪の浄化祭 Stuck④

ゲームオーバーになったような気持ちで、わたしはとりあえず近所のひとに助けを求めにいくことにした。 車から外にでると、そこは自分が今まで生きてきた世界とはまったく切り離された、別の場所なような気がした。 わたしは、来たときに履いていた、くたびれた古いドライビングシューズのまま、全くもって雪のなかを歩くような格好じゃないことに気づいた。 どうしようもなく寒々しい気持ちのまま、小さなバッグだけ脇に抱え、 […]…

備忘録 長編(シリーズ)

雪の浄化祭 Stuck③

渋滞の高速道路を脇に何とか入り、わたしはほっとした。 とりあえず時間も遅くなってきていて 今から家に帰ることもできたが、疲れたらどこかで一泊余分に宿泊しようと思った。 それもまた、過去だったら宿泊費がもったいないからという理由で、 体を酷使してでも帰っていたところを自由に選択することができる今の状況に、 誇らしく、ありがたかった。 わたしは天気予報も法律も何も知らなかったが、 お金ってすごいなと素 […]…

備忘録

雪の浄化祭 Stuck②

    自分が存在しているという事実を、 あと少しで一瞬でも気を抜いたら忘れてしまいそうになるのを 必死で繋ぎ止めるがごとく、わたしはSNSを繰り返し覗いた。     投稿が終わり、そのあとももう一度いろいろなことに想いを馳せたあとも、 車はまったく動かなかった。   わたしは車をパーキングに入れて、 ガソリンがどんどん減っていくのを眺めていた。 […]…