しごとの備忘録

忠臣

08/03/2020

わたしの前世のアジア率は結構高いのだけど、その中でも一度ミャンマーだかベトナムだからへんで生きたことがあって、当時まだ女性が管理職だとかリーダー的な立場で何かをすることがほとんどなかった時代。役所仕事だったが、まっすぐに信念を貫こうと生きたことがあった。

それはもう孤独の中の孤独で、激しい反対勢力が押し寄せる中で、苦しむとか戦うというような意思もほとんど無いままわたしは淡々と自分の仕事に打ち込んだ。

年を重ねても結婚もせず、女性としての朗らかな喜びのようなものも知らず、ただやるべきことに自分を投じる生き方は、これといって不幸だったとは思わない。

とても責任のある役目で何かしら社会を変えていくためにあれこれやっていて、自分にとってそれは大切なことだった手前、幸せだったと思う。

ただ最後の締めというか、死に方が最低(笑)だったために、そのときついた残虐な傷のようなものはバッチリ後世へと持ち越しとなったんだけども。

 

それはさておき、その時にそばで支え続けてくれた人がいた。

彼は男で、部下は雇いませんと言い切ったわたしに、それはもうしつこかった。道ゆく度にそばへよってきて、どうしても近くにお供させてほしいといった具合で、なんでもします。どんな雑用だろうが、どんな仕事だろうがとにかく近くで何かをさせてほしいと言い続けた。

最後、その熱意というかしつこさに根負けした私は、彼を自分のそばに置くことにしたわけだけれども、それは男女の色恋のようなものでは本当になく、まさに「忠誠を誓う」という言葉がふさわしいような存在だった。

大きな家の中にはたくさんの人間が働いており、彼はそのうちのひとりであり、そこにいつもいた。

わたしはわたしなりに彼の働きや忠誠に感謝や敬意を示したが、なんていうか彼は純朴で割とすっとこどっこいで、それほど頭のキレるようなタイプではなく、ただただ無我夢中で私に仕えるような感じだったため、よく叱ったと思う。

何か重要な役職を与えたとかそういう感じではなく、本当に身近で小間使いをするような感じだったかもしれないが、その存在の大きさに気づくのはもっとずっとあとになってからだった。

 

 

次のページに続く

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